いまから約50年前のこと、在京の一部の中小塾が、全国に個々ばらばらに存在していた学習塾の業界に呼びかけるかたちで、塾のモラルの確立・指導技術の向上を目指す研修を目的とした任意団体『全国私塾連盟』(現:全日本私塾教育ネットワーク)が成立した。そのメンバーには、日本で最も早く塾から中学校・高等学校を設立した鹿児島の「池田塾」や、鳥取で中学校を立ち上げた「伝習館」、富山で片山中学校・高等学校を開校させた「富山育英センター」なども名を連ねていた。2004年までは、その全国理事長を、かつて広島でもっとも中学入試の実績を出していた「山口塾」の前塾長、山口恭弘先生が10年以上の長期にわたり務めてこられた。わたくし河浜も、数年間、全国副理事長として、山口先生をお支えする役を担わせていただいた。現在もふたたび副理事長の役職をいただいている。

そして25年前、学習塾業界では初めて国の認可団体として発足したのが『社団法人全国学習塾協会』であり、われわれもその設立に参加した。その際に同会が制定したのが【10月9日=塾の日】である。今年も『塾の日』がやってきた。各地で研修会等の催しが行われる。この日を迎えると、わが国にまだ学校というものがなかった時代から、優駿たちを集めた私塾や町の寺子屋の流れをくむ、脈々とした大先輩方の営みに思いを馳せ、あらためて身の引き締まる思いなのである。

本年はその『塾の日』の記念のシンポジウムが広島で開かれた。10月7日には今年ブームとなっている平清盛にちなみ、全国各地から来られた塾の先生方をご案内する「宮島歴史散歩」で、河浜は解説役を務めさせていただいた。また翌8日のリーガロイヤルホテル広島で開催されたシンポジウムでは、司会を仰せつかった。こうした会を通じて、塾業界のますますの発展を祈り、あわせて塾に通う生徒のみなさんの、学力と生きる力の伸長をも祈らずにはいられない。この会に参加した学習共同体の各先生も同じ思いで、今後とも頑張ってくれるに違いない。